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+++ 輝きの欠片−第4話− +++

「確か三階の一番奥だったな」
静かな学園の長く長く続く廊下には、ジョーの足音だけが響き渡っていた。
(ここだ・・・)
軽く息を切らしたジョーは、園長室のドアの前に立ち逸る気持ちを抑えた。
「ふぅ〜、行くぞ!」

ガチ☆
「あれ?鍵が掛かってるのか」
うーーーん・・・・しばらく考え込む。
「よし!」
そう言って魔法を放った。
「それっ」
★。、:*:。.:*:・'゜★。.:*:・'゜★。、:*:。.:*:・'゜ヨレヨレ…
カチャン☆
「あはは。僕のこんな魔法で開いちゃうなんて、大したことないなぁ」
一瞬ふはっと笑い、次の瞬間には厳しい顔に戻っていた。
「行くぞ」
ガチャン・・・・。キィ・・・・。
(真っ暗だな。何も見えないや)
窓のない室内は明かり一つない闇と化している。
ゴチッ☆「いてて」

「ぇぃ・・・」★。、:*:。.:*:・'゜★。.:*:・'゜
ポッと掌に小さな炎を出して暗い部屋を見渡した。
園長のデスクに近付いてみると、見てもよく分からないような書類の山が幾つも乱雑に置かれている。
(ん?何だこれは?)
デスクの端に何やらボタンらしい物があった。
(押してみちゃえ)ポチっ。
ガチャン☆グィーン ガガガガ・・・・
「なっ何だ!?」
物音に驚き、思わず屈んで身を伏せた。
本棚がクルリと裏返りエレベーターの様な物が現れた。
「すっげー。何だこれ?入ってみよう」
迷うことなくエレベーターの様な物の中に入っていった。

「待て!そこで何をしてる!」
「が・・・学園長!?」

怪しげなエレベーターに乗り込んだ瞬間、学園長が現れ呼び止められた。
「そこで何をしていると聞いているんだ」
「いや・・・別に僕は・・・その・・・」
ちらっとみた手元にはこのエレベーターを作動させるであろうスイッチがあった。
「勝手なまねをされちゃ困るね、ジョー・シマムラ」
何故自分の名を知っているのか、不思議に思ったがその時は既に手元のスイッチを押していた。
ガコン ギュィーン
「ふっ。忌々しい小僧め」

魔法学園には数百名の生徒が通っている。
その中のトップである学園長が名前を覚えているとすれば、成績優秀な生徒か、
或いは多くの事件を引き起こす問題児だけであろう。
(僕は、劣等生として覚えられているのか?)

エレベーターはずっと下へ、学園にはあるはずのない地下へ向かっているようだ。
(一体何処へ行くんだろう。しかしこんな仕掛けがあったなんてな・・・)
しばらく動いた後、エレベーターは音を立てて止まった。
ガチン ウィーン。扉が開く。
「ん?着いたのか?」
そうっと外へ出てみる。学園長に見つかっているのだから、
警戒態勢が敷かれていると思っていたが、案外こんなもんなのか?と思わせる静けさだ。
だが、いつ追っ手がくるかも知れず、うかうかしている場合ではなかった。
(何処かに隠れなければ・・・)
その時遠くから足音が近付いてきた。
エレベーターを出たすぐの所に何やら得体の知れない大きな機械があり、その裏に身を潜めた。
今さっきジョーの乗ってきたエレベーターに白衣の男が乗り込んで、上へと向かっていった。
(ふぅ〜危なかった〜)

何故ジョーが園長室が怪しいと気付いたのか。
それは数年前、謎の死を遂げた前園長の後釜を現在の園長が受け継いだのだ。
以前までは自由に行き来できた園長室を突然閉鎖されたのでは、あまりにも分かりやすかった。

「ジョー・シマムラ。お前にはもう用は無い。消えて貰わねば」
真っ暗な園長室にぽつんと光るモニターに映し出されたジョーの姿を見据えて言う学園長。
「学園長、いえ、スカール様。準備が出来ました」
先程ジョーが乗っていったエレベーターから白衣の男が現れ告げる。
「そうか、整ったか。これで世界は我々の物だ。おい、あの小僧を片付けておけ」
映し出したモニターを目に、不適の笑みが憎たらしい程である。
「は!いつの間に!?か、畏まりました」
「あの小僧は生かしておいたら危険だ。さっさと始末しておけと命じておいたのに。このクズ共が」
「申し訳ございません。すぐに始末いたします」
学園長、いや、暗黒の神と呼ばれるスカールは、園長室を後にし、
準備が整っていると言う地下へ向かった。
「勝手なお方だ・・・。最初はあの小僧の力を奪うと申していたのに」



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