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+++ 永遠のかたち 第7話 +++

程なくして、博士とイワンが戻ってきた。
「ただいまジョー。今戻ったぞい」
「博士、イワンお帰りなさい。お疲れ様でした」
「おや?ジョー、フランソワーズはどうしたんだね?」
「・・・それが・・・・」
「ん?何かあったのかい?」
「僕にも何が何だか解らないんですけど、あまり体調が優れないみたいで」
「おおそうか。それじゃ、メンテナンスでもしようかの?後でわしの所へ来るように伝えておくれ。
 わしは少しばかり疲れたから休んでおるので、少し時間をおいて来て欲しいとな」
「分かりました。伝えておきます」
「・・・イワン・・」
「ナニカ アッタンダネ?」
「うん・・分かるかいイワン」
「・・・・・・」
「イワン?」
「ワカルケド イワナイ」
「え!?何でだよ!!」
「キミタチノ モンダイダヨ」
「え?どう言うこと!?」
「ボクモ ツカレタ。みるくチョウダイ」
「え!?あ〜・・・うん、分かったよ」

キッチンでミルクを作ったジョーは、何とかイワンから聞き出そうと試行錯誤していた。
「ねぇ、イワン教えてくれないかな」
ングングングングングングング・・・・
「イワン〜」
ングングングングングング・・・・
「ねぇってば」
「みるくクライ ユックリノマセテヨ」
「分かったよぉ〜・・・」
ングングングングング・・・・
「・・・・・」
ングングングング・・・
「イワン?ねぇ、イワンったら!」
スーーーーーピーーーーーーーーーースーーピーーー・・・
「もう寝てるよ・・・」
ジョーはがっくり肩を落とした。

コンコン。
「フランソワーズ?」
ドア越しに声を掛けるが応答は無かった。
「入ってもいいかな?」
ドアに鍵はされてなく、すんなりとジョーは彼女の部屋へと入室した。
この間の緊張は何処へやら・・・。
彼女は窓も閉め切ってベッドに潜り込んだままだった。
ゆっくりとベッドへ足を運ぶジョーにフランソワーズは冷たくあしらった。
「それ以上近付かないで」
「フランソワーズぅ。どうしたって言うんだい?」
「わたしは・・わたしはサイボーグよっ!」
「うん・・僕だってそうだよ」
「わたしに人を好きになる資格は・・・無い・・・のよ・・」
「ちょっ、ちょっと待ってよ!フランソワーズ。何でそう言う話になる訳?」
「・・・・・」
「もしかしてアリスの事気にしてるの?だったら違うよ!?」
「何が違うの?」
「ねぇ、何かあったの?」
「何もないわ!!」
枕を投げ飛ばしジョーへとぶつかった。
枕から柔らかな羽が幾つも宙を舞い、冷たい雪のように見えた。冷たい秋の雪・・・。

「・・・君がそんな事を言うとは思わなかったよ」
「・・・・」
「もし、君に好きになる資格がないって言うなら、僕は・・・僕は最強に造られたサイボーグさ。
 きっと生きている資格なんて無いだろうな・・」
そう言ってジョーは彼女の部屋を退室した。
「・・・・ち、違うの・・違うのジョー・・・わたしが弱すぎて・・
 あなたを信じてあげられなくて・・・自信が無くて・・・」
サイボーグとは言え、19歳の少女には変わりはなく、その心は深く傷付きやすい物だった。
それに気付いてやれないジョーも、まだ18歳の少年。
女心と秋の空・・・そんな意味も解るはずがないだろう。
フランソワーズは一層泣き崩れていた。



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