「おはようジョー。調子はどう?」 「おはよー、フランソワーズ。調子は・・・どうかなぁ」 「今日の試験には合格しないとね」 「うん、そうだね。いい加減僕は、この試験は最後にしないとな」 「お互い頑張りましょ」 ここはとある魔法学園。彼らはこの学園の生徒である。そして今日は魔法試験。 フランソワーズはこれが最後の試験になるはずである、この学園始まって以来の優等生。 これに合格すれば、一人前の魔法使いとして認められるのだ。 反するジョーは何度も魔法見習いの試験を受け続け、既に両手に余るほどの回数である。 いわば、不釣り合いのカップルであった。 「じゃ、後でね」 「うん、絶対合格するからさ!」 「うふふ。その意気その意気」 軽く手を振り合い、それぞれの試験場に向かった。 フランソワーズの後を追う怪しい影には誰も気付いていなかった。 「さて、これより試験を始めます。フランソワーズ・アルヌール、前へ」 「はい」 「君はこの学園始まって以来の素晴らしい能力を持つ生徒だ。 みなの手本と成るよう、頑張ってくれたまへ。期待しています」 「はい。精一杯頑張ります!」 (ジョー・・・頑張ってね・・・) 「それでは、始めて下さい」 「えいっ」 ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°キラキラ ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°キラキラーン ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°キララーン 「試験を始めます。ジョー・シマムラ、前へ」 「はい」 「君はそろそろ見習い試験を合格して、次のステップへ進むように努力して下さい」 「はい、頑張ります」 「では、始め!」 「それっ」 . : * :・’゜★ . : * :・’゜★ . : * :・’ . : * :・’゜★ . : * :・’゜ヘナヘナ 「えいっっっ」 . : * :・’゜★ . : * :・’゜★ . : * :・’ . : * :・’゜ヘナヘナヘナ 「これでもかっ」 . : * :・’゜★ . : * :・’゜★ . : ヘナ 「うりゃ!」 . : * :・’゜★ . : ショボ… 「・・・・・・・」 そして数時間後、試験は無事(?)終了した。 「えー。みなさん、各自力を出し切って頂いたと思います。ご苦労様でした。 試験の結果は3日後、各試験場の入り口にて発表いたします。それでは解散」 「あら、ジョー。お疲れさま」 自信満々といった表情のフランソワーズが、肩を落として歩いているジョーの元へやって来た。 「あぁ、フランソワーズ・・・。僕の顔を見れば一目瞭然だろうね・・・」 がっくりするジョーに、すっきりとした笑顔で元気付けるフランソワーズ。 「でも、また次を頑張れば良いじゃない!ね?」 「うん・・・でも君は試験に合格すれば、この学園を離れてしまうんだね・・・」 その言葉にはっとして、フランソワーズはすっきりした笑顔から、 柔らかい微笑みへと表情を変えた。 「大丈夫よ。わたし達はずっと変わらないでしょ?」 「・・・・・・」 「ね?元気を出して」 ジョーの冷たい手を優しく包み込んで、黙ったまま歩き続けた。 再び二人の背後に忍び寄る影があったが、その気配に気付くことはない。 沈黙のままに歩き続け、フランソワーズの自宅付近まで辿り着いた。 「ありがとう、ここで良いわ。兄が待ってるの、ごめんなさいね。また明日」 「うん。また明日・・・」 ジョーの背中が寂しそうで、後ろ髪を引かれる思いがして叫んでいた。 「ジョー!明日の朝、迎えに来てねー」 太陽のような笑顔で大きく手を振ってみせるフランソワーズ。 背中越しにちらっとみて、頭の上で軽く手を振ったジョーは、またゆっくり重い足取りで歩き始めた。 「ジョー・・・」 気を落としているジョーの背中を見送り、ぽつりと呟いた。 「ただいま、ジャン兄さん」 ・・・・・・。 「今帰ったわよ?ジャン兄さん」 ・・・・・・。 「おかしいわね、今日は早く帰って来るようにって言っていたのに。 何処へ行っちゃったのかしら?」 先に着替えてこようと思い、自分の部屋のドアノブに手が掛かった時、ジャンの声がした。 「お帰り、フランソワーズ」 「あら、ジャン兄さん居たの?何度も声を掛けたのよ!?」 「そうか、ごめんよ。お前に話したい事があるんだ」 「話?待って、すぐ着替えてくるわ」 そう言って部屋へ入ってゆく。 (今日のジャン兄さん、なんだか変だわ。どうかしたのかしら? それに・・・改まって話しなんて・・・) 着替えてリビングへ向かうとジャンの姿はなかった。 「兄さん?ジャン兄さん?」 ・・・・・。 テーブルには二人分のティーカップに暖かいアップルティーが用意されている。 ただし、一つは半分までの入れかけ・・・。 カタ・・・ン。 「ジャン兄さん・・・?」 物音に振り向くと、そこには邪悪な黒い影が!! 「キャーーーーーーーーーー」 |
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