+++ 悪夢の園 最終話 +++
逢いたい
犬夜叉
逢いたい
逢いたい
逢いたい
逢いたい。
お願い、犬夜叉に逢わせて・・・。
何処なの?犬夜叉、何処!?
戻ってこい。
俺んとこへ、戻ってこい。
何処だ
何処を探れば
かごめに触れられるんだ。
祈るがままに手探りで
互いの温もりを求めて、
必死で触れ合える空間を探す。
何処・・?
何処だ!?
その時、
再び大きな地響きが
二人を襲った。
ゴオという凄まじい音と共に
亀裂が迫る。
けれど、この手を離す事は
出来ない。
迫り来る深い溝。
犬夜叉の血と思われる跡を
掻き消すように。
二人の運命を物語るように。
そのささやかな幸福を
奪い取るかのように。
凄い早さで
襲いかかってくる。
あ・・・もうだめ・・・。
目を閉じ
無心に掴まれた腕を
掴み返す。
掴み返す腕にもまた
掴まれる感覚を宿していた。
そしてそのまま亀裂の中に
吸い込まれる。
見えぬ相手と腕を絡ませる。
何度も繋がれた手が
離れそうになる。
その度に絡められる
指先。
落ち行く重力により、
腕が契れそうに激しい痛みを伴う。
それでも決して
互いの手を離す事はなかった。
繋がった腕は見えなくとも、
互いの存在をあらわにしていた。
意識が遠ざかる・・・
犬夜叉・・・
お願い
無事でいて。
かごめ・・・生きていろ。
必ずお前を・・・
俺が守るから・・・。
俺が、守るから・・・
死ぬな・・・
死ぬな・・・
死ぬな・・・
落ちる感覚と
大きな音とが消えた頃
暖かな温もりの中で
かごめは目覚めた。
「かごめ・・・」
「!!」

声にならない。
逢いたかった
逢いたいと思い続けた犬夜叉が
自分を抱いている。
傷だらけになり、
たくさんの血を流した犬夜叉が、
優しい眼で見つめている。
「犬・・・やしゃ・・・」
涙声になったかごめは
犬夜叉の胸へと
再び顔を埋めた。
「ごめんね。
ごめんね犬夜叉。
こんなになっちゃって・・・。
あたしの為に、
ひどい怪我まで負って・・・
心配掛けちゃって・・・」
「かごめ
俺も・・なんだか
おめえの気持ちが
分かった気がする。
おめえだけが悪いんじゃ・・
ねえ・・」
「犬夜叉・・・」

見つめ合う二人に
言葉は要らなかった。
互いに吸い寄せられるように
唇を交わした。
静かに、そして激しく。
今までにないほどに甘く・・・。
時を忘れるかのように、
離れていた時間を埋めるかのように。
初めての恋。
初めての胸の痛み。
繋ぎ止める想い
救いたい魂。
汚れぬ心。
偽りのない心。
愛する気持ち。
それぞれの想いを込めて、
四魂の玉は輝く。
その形を目前に控え、
それぞれの旅が再び始まる。
二人の恋もまた・・・
─── fin ───
Present ment, Ruki&Pooh-chin.
May peace last forever.
Thank you...